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第39話 時代の変わり目

last update Date de publication: 2026-10-03 21:54:58

第39話 時代の変わり目

 時代が変わる時、必ずしも大きな戦や政変が起きるとは限らない。

 これまで国を支えてきた者が表舞台から退き、次の世代へ役目を譲る。空の色や風の冷たさが少しずつ変わり、昨日まで当たり前だった暮らしが、気づかぬうちに通用しなくなっていく。

 日本は今、まさにそのような時代の変わり目を迎えていた。

          ◇

 龍之介の実父である帝が皇位を譲り、上皇となった。

 新たに即位したのは、龍之介と同じく上皇の血を引く兄弟である。龍之介に皇位継承権はなかったため、即位を巡る争いが起きることはなく、儀式は滞りなく執り行われた。

 譲位後、上皇が院政を始めるのではないかと考えた公家は多かった。

 皇位を譲った後も上皇が政務へ関与し、新帝とは別の権力を持てば、朝廷の中に二つの中心が生まれる。長く続いた朝廷の歴史を振り返れば、それが大きな争いの原因となった例は一度や二度ではない。

 しかし、上皇は院政を行わないと明言した。

 

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  • 天寿を全うしたら美少女閻魔大王に異世界に転生を薦められました。~戦国時代から宇宙へ~   第38話 都を押さえる七万の兵

     龍之介は伊達領と最上領の農政、築城、港湾整備に惜しみなく知恵を貸し、さらに朝廷や公家との橋渡しまで引き受けていた。そのため、政宗や義光をはじめとする同盟者たちは、領国運営に関する龍之介の進言を素直に聞き入れることが多くなっていた。 龍之介は二人を家臣として扱ったことはなく、最終的な判断はそれぞれの当主に任せている。しかし、外から見れば、奥州探題と羽州探題が関白の言葉に従って動いているように映る。 信忠も、その危うさに気づいていた。「関白殿が一言申せば、伊達も最上も城を築き、港を整え、公家の子弟まで迎え入れる。これでは、奥羽の両探題が幕府より関白殿の意向を重んじているようではないか」 二条城で報告を受けた信忠は、不快感を隠さずに言った。「されど、表向きは領国の発展を目的とした助言にございます。幕府へ逆らうよう命じた証しは、今のところ見つかっておりませぬ」「だから始末が悪いのだ。兵を挙げよと命じたのであれば、謀叛の証しとして討つこともできる。しかし、関白殿は農地を広げ、港を造り、寺社を整えているだけだ。その結果として諸大名と公家の信望を集め、気づけば巨大な勢力を築いておる」 信忠は東国の地図へ目を落とした。 茨城国を中心に、伊達領と最上領が連なっている。さらに龍之介は関白として朝廷から厚い信任を受け、嵐山城と近江八幡城という二つの拠点を畿内に持っていた。「父上が御健在のうちは、関白殿も表立って動くまい。だが、その後は分からぬ。このままでは織田宗家そのものが、関白殿の威光に呑み込まれかねん」 信忠は、龍之介の存在を単なる政敵ではなく、織田宗家の将来を脅かす危機として捉え始めていた。          ◇ 一方の龍之介は、この時点においても信忠と戦うことを望んでいなかった。 陰陽道によって争う未来を見たとはいえ、それが必ず起こるとは限らない。信忠が軍を差し向けてこないのであれば、龍之介から戦を仕掛けるつもりはなかった。 しかし、妻子や領民の命を守る立場にある以上、何の備えもせずに信忠の善意だけを信じるわけにもいかない。 龍之介は嵐

  • 天寿を全うしたら美少女閻魔大王に異世界に転生を薦められました。~戦国時代から宇宙へ~   第37話 二大勢力

    第37話 二大勢力 天下は安土幕府の下で統一されていたものの、その内側では二つの大きな勢力が形を取り始めていた。 一方は、征夷大将軍織田信忠を中心とする織田宗家と、その家臣や同盟大名たち。 もう一方は、従一位関白兼関東管領である三上龍之介正圀と、密かに同盟を結んだ伊達家、最上家を中心とする勢力である。 もちろん、両者が公然と敵対しているわけではない。 正一位太政大臣織田信長が健在である以上、信忠も龍之介も、互いに刃を向けるつもりはなかった。しかし、領地替えの拒否、一国一城令を巡る対立、嵐山城や二条城の相次ぐ大改修によって、両者の間に亀裂が生じていることは、もはや誰の目にも明らかだった。 そして、その変化を誰よりも早く察していた大名の一人が、奥州探題伊達政宗だった。          ◇ 1592年当時、伊達政宗はまだ二十五歳の若者であった。 若くして伊達家の家督を継ぎ、奥州探題にまで上り詰めた政宗の胸には、今なお大きな野望が燃えている。 本来であれば奥州の諸大名を次々と従え、いずれは自らの力で天下へ名乗りを上げたいと考えても不思議ではない人物だった。 しかし、政宗が力を伸ばし始めた頃には、すでに天下の大勢は織田家へ傾いていた。 伊達家は父・輝宗の代から織田信長へたびたび贈り物を送り、早い時期から誼を通じていた。そのため、信長が安土幕府を開いた際には、政宗へ奥州探題の役職が与えられたのである。 幕府から奥州の取りまとめを任されたことで、伊達家は周辺の小大名を配下へ加え、領地を大きく広げることができた。 この世界では、史実で起きた阿武隈川の悲劇も起きていない。 父の伊達輝宗は健在だったが、すでに政宗へ家督を譲り、政治にはほとんど口を出さず、領内で悠々自適の隠居生活を楽しんでいた。「父上は、まことに何も仰せにならぬ。時には助言の一つくらいあってもよいと思うのだがな」 政宗が苦笑すると、腹心の片倉小十郎は穏やかに答えた。「輝宗様は、殿を信じてすべてを任せておられるのでございましょう。御

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